少し前からの疑問。

例えば「Blade Kitten」(10年)と「Trine」(09年)を例に挙げよう。
この二つ、どちらも横スクロールアクションであり、コンセプトは違えど似たようなゲームタイプである。
なお、metascoreでは52点と80点と大きく差が付いている。
これは実際にプレイした時も感じたが、前者がアクション性を特徴としている割にアクション性が貧弱であることが一つ。
もう一つは後者があまりに良く出来た作品であり(Winner, Best Downloadable Game by GameSpot's E3 Editors' Choice Awards)、この点に於いては仕方が無いと感じる。

横道に逸れたが。この両者、似ているのはゲームタイプだけではない。

以下はネタバレになるが、どちらの作品も最終ステージは「マップが下から破壊されていき、上に登り続ける必要がある」という構成を取っている。
形は違えどよくあるパターンだ。例えば初代バイオハザードではラストの研究所からの脱出に時間制限があったが、あれも似たような意図だろう。
ただ、この二作品で個人的に問題と感じたのは、「そこまでのゲームプレイが最終ステージで活かされない」ということ。

例えば「Blade Kitten」。これのスタンスは、現れる敵を如何に効率良く捌くか、と感じていた。

勿論タイミングがシビアな仕掛けのあるステージも幾つかはあったが、基本的には「徐々に強くなる敵をアクションの組み合わせで如何に上手く倒すか」がメインであり、ステージの難易度調整もそれを想定して作られていたと感じる。

しかし最終ステージ。要求されるのは崩壊するステージから決まった逃げ方をし、特定タイミングでボスに近付き、QTEのようなボタン操作を行う繰り返し。
そこには最終ステージまでにプレイヤーが培ってきた技術を活かす場面はなく、寧ろムービーの方が余程良かったのではないかとさえ感じる始末。
更にやり込み要素の一つである収集要素とも無縁で、このステージがプレイヤーに二周目を忌避させている印象さえある。

metascoreにおいて30点近い差を誇る「Trine」も、残念ながら同じ問題に引っかかっている。

こちらは三体のキャラクターを入れ替えて交互に操作し、ステージのギミックを任意の解法で解きながら進むという、どちらかと言えば謎解き要素がやや強くなった作品である。
例えばSSのような歯車が回転していたり、ロープウェイやブランコのような簡単な物理法則を利用したギミック、またプレイヤーが使うフックや「箱や板を作る魔法」
などを組み合わせ、目の前の仕掛けをどうやったら突破出来るかを考えるのが主な要素となっている。

しかし、これもラストステージでは活かされない。
「Blade Kitten」よりは僅かにマシで、こちらは今までの知識も若干ながら要求される。
しかし、大まかに言えば「反射神経と速度」が主に要求される技量であり、これはそれまでのステージ構成とあまり合致しているとは思えない。

ジャンルは違えど比較的上手いと感じた構成は「Call of Duty: United Offensive」(04年)。
正直なところ、最終ステージに至るまであまり良く出来たゲームだとは感じなかったが、最終ステージの「複数の方向から多様な敵が襲来し、一定時間それを耐え切る」というのは、そこまでのステージで学んだ対歩兵・対戦車・対航空機の全ての技術を動員すべきであり、その構成の上手さは優れていると感じた(高難易度でプレイしたいステージではないが)。
前述の「Blade Kitten」や「Trine」と同様、最終ステージは幾度もロードを繰り返してクリアしたが、こちらはクリア後に十分な達成感が生まれた。

何故このような事が起きるのか。
少し考えれば当たり前である。誰だって「最終ステージは今までのステージにないものであるべき」と考えるだろう。
今までと同じような単調なステージが続くと思いきやいきなりゲームクリア。そんな呆気無いゲームもあるが、あまり後味の良い物ではない。
しかし、今までにないのは難易度やステージに留めるべきで、要求されること自体を変えてしまうのはそこまでのゲームの否定にも等しい。
最近で酷い例は「Call of Duty: Modern Warfare 3」のラスト辺りか。新作のためネタバレは避けるが、最早FPSである必要は無いのではないかアレは。

野球の大会の決勝戦でサッカーをやらせろという選手は居ない。一番良い野球の試合をさせてくれさえすれば良いのだ。